男性更年期障害の症状「うつ・腰痛・ED」

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近年になつて、日本でも男性にも更年期があることが注目されるようになってきています。ここで、男性の更年期障害とEDの関係について考えてみましょう。

男性更年期障害が近年になって注目されていると述べましたが、実は紀元前の中国、前漢時代に改訂編纂された中国最古の医学書「黄帝内経」に男性更年期のような症状をあらわした記述が残されています。

「五八腎気衰、髮塑歯槁。六八陽気袞竭於上、面焦、髮鬢頒白。七八肝気衰、筋不能動。天癸竭、精少、腎蔵衰、形体皆極。八八則歯髮去。……今五蔵皆衰、筋骨解堕、天癸尽矣。故髮鬢白、身体重、行歩不正、而無子耳。」意味は以下のとおりです。

「男性は四十歳(五八とは、五X八=四十のこと。以下同じ)になると、腎気(先天の元気で生命エネルギーのこと)は衰えはじめ、頭髮は薄くなり歯には艷がなくなる。四十八歳になると上半身の生気が少なくなり、顔がやつれて、髮ともみあげに白いものが混じる。五十六歳になると肝の機能が減退して、筋肉の動きが悪くなる。生殖機能(天癸)はその機能を徐々に失い、精気は減少し、腎気が減退して体型に変化を生じる。六十四歳になると歯は抜け頭髮もなくなってくる。……今や年老いて五臓の機能はすべて衰え、筋肉や骨格はしっかりと保つことができずに、生殖の機能は完全に尽き果てた。髮やもみあげは真っ白となり、体は重だるく、足元もおぼつかなくなって、もはや子どもをもうけることはない。」

このように、男性の機能が次第に衰退していく様子が詳しく説明されています。生命エネルギーの滅少についての古人の銳い洞察力は現代にも十分通用します 。

一方、日本で更年期という言葉が最初に活字になったのは、1905年から翌年にかけて新聞に連載された小栗風葉の小説『青春』でした。年齢と共に誰にでも訪れる更年期。そしてその時期に体の不調に見舞われることは、従来から一般的によく知られていたのです。しかしそれは女性特有の症状というイメージが強く、最近になって男性更年期による症状が医学的にも認められるようになったのは、先進国を中心とした高齢化の進行にともなう健康增進や予防医学への取り組みが国の重要施策として考えられはじめたことが大きく影響しています。

これまでの我が国の医療では更年期におけるセクシュアリテイーへの関心は低いと言わざるを得ず、特に性そのものに対する医学的研究はほとんどおこなわれてきませんでした。ところが、最近になって欧米をはじめとして夫婦間の性的な問題と更年期の関係が急速にクローズアッブされるようになってきました。

それによると、「夫婦関係が性的にアクティブであるほど、夫と妻の更年期症状は比較的軽い傾向にある」というのです。もしそれが事実ならば夫婦間のたゆまぬ性生活がお互いの間係を親密にする以上に、医学的に更年期の障害をふたりで乘り越える意味で
、性の問題への積極的なアブローチが大いに望まれるところです。

また、男性更年期障害の問題も中商年男性における性的な関係を含めたの増進と、QOLの改善に関係すると考えられます。男性更年期障害は現在ではLOH症候群ともいわれており、「典型的な症状、すなわち造精機能の低下や性機能障害と、血中テストステロン値の低下で特徴づけられる、加齢にともなう臨床的、生化学的症候群」と定義されています。

男性更年期障害の症状は精巣で生産されるテストステロンの分泌通が滅少する他に、下垂体および副腎の内分泌機能の低下、さらには自律神経の中枢である視床下部や情動の中枢としての大脳辺縁系での機能低下も関連していると考えられます。

では、男性更年期障害の症状にはどのようなものがあるか見ていきましよう。

1精神・神経症状=うつ(不眠)

2身体的症状=腰痛(疲労倦怠感)

3性機能障害= ED(排尿障害)

男性更年期障害の三大症状はズパリ「うつ・腰痛・ED」です。四十代から六十代の男性にはこれらの症状はどれも心当たりがあるのではないでしょうか。中てもEDに代表される性機能の低下を訴える患者さんは多いと考えられます。

某医科大学泌尿器科での受診結果を見ても、性欲の低下が76%、勃起障害は86%に認められたとあり、実際に男性更年期障害ではEDの訴えが深刻であるケースは少なくないようです。

男性更年期障害の症状とよく似た疾患に「自律神経失調症」がありますが、うつ病でない限り性欲の低下あるいは勃起障害や射精障害など、性機能に関連した症状が目立つことはあまり多くはないのです。